はいけつしょう

敗血症

最終更新日:
2021年04月26日
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2021/04/26
更新しました
2021/04/13
更新しました
2017/04/25
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概要

敗血症とは、何らかの細菌やウイルスに感染することによって全身にさまざまな影響がおよび、心臓、肺など体の重要な臓器の機能が障害(臓器不全)される病気のことです。

通常の感染症は、喉、鼻、気管、腎盂(じんう)など病原体の感染が生じた一部の臓器に症状が引き起こされます。一方で敗血症は、炎症が全身に広がることで局所的な症状のみではなく、体温の異常な上昇や低下、心拍数の上昇、呼吸数の増加、白血球の異常な増加や減少といった症状が現れます。そして、全身のさまざまな臓器の機能が低下していき、生命を脅かすような低血圧に陥る“敗血症ショック”に進行していくのが特徴です。早急に適切な治療を行わなければ命を落とすケースも少なくありません。

敗血症は軽度な感染症から進行することもあるため、特に乳幼児や高齢の方、持病のある方などで発熱などの症状が長引く場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

原因

敗血症は何らかの細菌やウイルスに感染する“感染症”によって引き起こされます。原因となる主な細菌は、ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌などとされており、多くは肺炎尿路感染症、皮膚や腸管の感染症などから発生します。

これらの感染症を発症すると体内では原因となった細菌が増殖していきます。そして、それらの細菌の毒素によって体内の炎症を引き起こす“サイトカイン”と呼ばれる物質が放出されるようになります。サイトカインには炎症を引き起こすだけなく血管を広げて血圧を低下させる作用、細い血管の血液を固める作用があるため、血流が不足する臓器はさらなるダメージを受けて機能が低下していくのも敗血症の特徴です。

また、年齢や性別を問わず何らかの感染症を発症すれば敗血症に進行する可能性はゼロではありませんが、特に65歳以上の高齢者、乳幼児、免疫機能が低下する病気や治療を受けている人は敗血症に進行するリスクが高いとされています。

症状

敗血症は全身にさまざまな症状が現れるのが特徴であり、下痢・嘔吐、頭痛、呼吸困難感、咳といった原因となる感染症に特有の症状とともに、異常な体温上昇・低下、悪寒、ふるえ、手足の冷え、心拍数の上昇、呼吸数の増加などが生じ、自分がいる場所や時間が分からなくなる“見当識障害”といった意識低下、錯乱などの精神症状が現れるケースも少なくありません。

また、敗血症は状態が悪化しやすいのも特徴であり、血圧の低下や尿量の減少、呼吸困難などの重篤な症状が見られるようになります。さらに、上述したように敗血症では臓器の血流が低下することで機能が損なわれ、進行すると臓器の組織壊死(そしきえし)(組織の腐敗)が引き起こされます。

検査・診断

症状などから敗血症が疑われるときは次のような検査が必要に応じて行われます。

血液検査

体内の炎症の程度、腎機能、肝機能などを調べるために血液検査が行われます。特に敗血症では血液中の細胞である白血球が増加・減少するのが特徴です。

また、診断のためだけではなく、重症度を評価することもできるため敗血症を発症した場合は治療効果を判定するためにも繰り返し検査を行うのが一般的です。

血液培養検査

血液を採取して血液中に細菌が潜んでいるか、潜んでいる場合はどのような種類の細菌なのか調べる検査です。敗血症では本来は無菌状態であるはずの血液に細菌が入り込んでいるケースが多く、敗血症を引き起こしている細菌の種類を特定することで適切な抗菌薬の選択をすることが可能になります。

血液ガス分析検査

動脈を流れる血液を採取し、血液中の酸素や二酸化炭素の量、血液の酸性度などを調べる検査です。敗血症が進行すると呼吸の機能が低下するため、この検査をすることで呼吸(酸素化とガス交換)が正常に行われているか、人工呼吸器を使用すべき状態なのか、組織の代謝の状態は適正か、などを評価することができます。

画像検査

敗血症は全身の臓器にさまざまな影響を与えるため、それぞれの症状に応じてX線、CT、MRIなどを用いて各臓器の状態を調べる検査を行うことがあります。

治療

敗血症の治療は“原因となる感染症の根本的な治療”と“全身の状態を改善するための治療”の二本立てで行っていくのが原則です。

感染症の根本的な治療としては、速やかに病原体に適した抗微生物薬(基本的には抗菌薬)の投与を行うことが大切であり、皮膚の感染症などの場合は感染によってダメージを受けた部位を取り除く手術が行われるケースも少なくありません。

また、全身の状態を改善するためには血圧を上昇させるための点滴治療、呼吸状態を改善するための酸素投与や人工呼吸器装着などが行われ、腎機能が著しく悪化している場合には人工透析が必要になることもあります。さらに、貧血や血小板の減少など血液の細胞の数にも異常をきたしているような場合には輸血が必要になります。敗血症による全身の症状の現れ方はさまざまであるため、個々の症状に合った治療を行っていくことが大切です。

予防

敗血症を予防するには感染症を予防することが大切であり、万が一感染症にかかったとしても悪化させないよう注意することで発症のリスクを下げることができます。

そのためにも、日頃から手洗いや手指消毒、マスク着用などの基本的な感染対策をしっかり行い、インフルエンザ肺炎球菌などは必要に応じてワクチンを接種するようにしましょう。

また、感染症が悪化して敗血症に進行するのを防ぐには、感染症が疑われる症状がある場合できるだけ早く医療機関を受診して、適切な検査・治療を受けることが大切です。

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